愛車を大切にするなら、自分の身体も。ドライブ好きが気をつけたい15の病気
本記事は健康に関する一般的な情報をまとめたもので、診断や治療の代わりになるものではありません。
症状がある場合や健康診断で異常を指摘された場合は、医療機関に相談してください。
クルマ好きなら、愛車のメンテナンスには気を遣うものです。
エンジンオイルの交換時期を確認し、タイヤの空気圧をチェックする。ブレーキやバッテリーの状態にも気を配り、少しでも異変があれば点検に出す。
では、自分の身体はどうでしょうか。
「まだ元気だから大丈夫」と、健康診断の結果をあまり気にしていない人もいるかもしれません。
しかし、クルマを運転するには、見る、聞く、判断する、反応する、身体を動かすといったさまざまな能力が必要です。
だからこそ、ドライブを趣味として長く楽しみたいなら、愛車だけでなく、自分自身の身体もメンテナンスしておきたいところ。
ここでは、ドライブ好きが特に意識しておきたい15の病気・健康上の問題と、その対策を紹介します。
なお、ここで挙げる病気が「ドライブ好きだから発症しやすい」という意味ではありません。あくまで、「できるだけ長く自分で運転してドライブを楽しむ」という視点から、予防や早期発見を意識したいものを選んでいます。
見る能力に関する病気

緑内障――「見えているつもり」に注意
ドライブをするうえで、まず大切なのが目です。
緑内障は、目と脳をつなぐ視神経が障害され、視野が徐々に欠けていく病気です。
特に注意したいのは、初期には自分で視野の異常に気づきにくいこと。
「視力は1.0あるから大丈夫」と思っていても、視野に問題がないとは限りません。
運転では正面だけでなく、左右から来る車や歩行者など、周辺の情報も捉える必要があります。
対策
40歳を過ぎたら、目の定期チェックを意識したいところです。
日本眼科医会も、40歳を過ぎたら定期的な目の検診を勧めています。緑内障の検査では眼圧だけでなく、眼底検査や視野検査などが重要です。(日本眼科医会)
特に、
- 視野が欠けているような感じがする
- 片目ずつ見ると見え方が違う
- 家族に緑内障の人がいる
- 健診で眼底の異常を指摘された
といった場合は、眼科で相談しましょう。
ドライブ好きにとっては「視力」だけでなく「視野」も重要なメンテナンス項目です。
白内障――夜のドライブがつらくなったら
年齢とともに注意したい目の病気が白内障です。
水晶体が濁ることで、視力が低下したり、視界がかすんだりします。
ドライブ好きにとって気になるのは、夜間の見え方でしょう。
- 「以前より対向車のライトがまぶしい」
- 「夜になると標識が見えにくい」
- 「全体的に視界がぼやける」
こうした変化が出てきたら、単なる「年齢のせい」と放置しないことが大切です。
対策
白内障そのものを生活習慣だけで完全に防ぐことはできません。
だからこそ、重要なのは見え方の変化を放置しないこと。
定期的に眼科でチェックし、運転に支障を感じるほど視力や見え方が低下してきた場合は、治療について相談しましょう。
特に夜間ドライブが好きな人は、「昼間は普通に見えるから大丈夫」と考えず、夜の視界に変化がないかも意識しておきたいところです。
糖尿病――目と血管を守る
糖尿病は、単に血糖値が高くなる病気ではありません。
長期間にわたる高血糖は、目、腎臓、神経、血管などに合併症を起こす可能性があります。
特にドライバーとして気にしたいのが、糖尿病網膜症などによる視機能への影響です。
対策
健康診断などで血糖値やHbA1cの異常を指摘されたら、早めに医療機関へ。
糖尿病の予防・管理では、体重、食事、運動、血圧、脂質などをまとめて管理することが重要です。日本糖尿病学会のガイドラインでも、糖尿病に関連する心血管リスクについて、血圧や脂質、肥満などを含めた包括的な管理が推奨されています。(JDS)
ドライブ好きなら、遠出の途中で食べ歩きを楽しむこともあるでしょう。
だからこそ、普段の食事でバランスを取るという考え方が大切です。
聞く能力に関する病気

難聴――クルマの音を聞く力も大切
ドライブでは「見る」だけでなく「聞く」ことも重要です。
サイレン、クラクション、踏切の音、周囲の車の走行音など、運転中にはさまざまな音から情報を得ています。
加齢性難聴は徐々に進行することがあり、自分では気づきにくい場合もあります。
厚生労働省によると、加齢性難聴は40歳代から聴力が低下する傾向があり、年齢とともに「聞こえにくさ」を感じる人が増えます。また、難聴によって危険察知能力が低下する可能性も指摘されています。(厚生労働省)
対策
まずは耳に大きな音を浴びせ続けないこと。
- 車内で音楽を大音量にしすぎない
- 大きな音が続く環境を避ける
- 聞こえにくさを感じたら耳鼻咽喉科を受診する
といった対策が基本です。
「テレビの音量が大きくなった」「会話で聞き返すことが増えた」などは、聴力低下のサインかもしれません。
また、イヤホンやヘッドホンを使用する際、音量をなるべく上げないようにすることも重要と言えるでしょう。
必要であれば補聴器などの選択肢もありますが、厚生労働省も、自己判断で購入するのではなく、まず耳鼻咽喉科への相談を勧めています。(厚生労働省)
判断能力に関わる病気
認知症・軽度認知障害(MCI)――「判断する力」を守る
運転では、記憶力だけでなく、注意力、判断力、状況を把握する能力など、さまざまな認知機能を使います。
例えば、
- 「この車は次にどう動くか」
- 「ここで右折して大丈夫か」
- 「歩行者が出てくる可能性はないか」
などを瞬時に判断しなければなりません。
認知機能の低下は、運転能力にも影響する可能性があります。
対策
重要なのは、「認知症にならないようにする」だけを考えるのではなく、認知機能の変化に早く気づくことです。
- 物忘れが急に増えた
- 道順を間違えることが増えた
- 駐車が以前より苦手になった
- 運転中にヒヤリとすることが増えた
- 家族から運転について心配されるようになった
こうした変化があれば、一度医療機関などに相談してみましょう。
また、運動、社会参加、十分な睡眠、生活習慣病の管理など、日頃から脳と身体の健康を保つことも大切です。
「まだ運転できるから大丈夫」ではなく、「これからも運転するために状態を確認する」という発想が重要です。
睡眠時無呼吸症候群――眠気は「根性」で克服しない
長距離ドライブで最も怖いものの一つが眠気です。
十分寝ているつもりなのに日中の眠気が強い、いびきが大きい、寝ている間に呼吸が止まっていると指摘されたことがある。
そんな場合は、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があります。
対策
まずは、
- 強い日中の眠気
- 大きないびき
- 睡眠中の呼吸停止を指摘された
- 朝起きたときに頭痛がある
- 夜中に何度も目が覚める
などの症状を放置しないこと。
疑わしい場合は睡眠外来などで相談しましょう。
そして何より、眠気を感じた状態で運転を続けないこと。
「あと30分だから」「コーヒーを飲めば大丈夫」と無理をするのではなく、安全な場所に停車して休むことが最優先です。
うつ病などの精神疾患――「運転する気力」も健康の一部
最後は身体だけの問題ではありません。
うつ病などでは、気分の落ち込みだけでなく、集中力や判断力、睡眠などにも影響が出ることがあります。
クルマ好きにとって、これは意外に重要なポイントです。
「以前は休日になるとドライブに出かけていたのに、最近はまったく出かける気にならない」
そんな変化が続くなら、単なる「クルマへの興味が薄れた」ではなく、心身の不調が隠れている可能性もあります。
筆者自身も以前、心身の調子を崩しかけた時期があり、その頃は運転中の集中力が落ち、「以前のようにドライブを楽しめない」と感じたことがあります。
車好き・ドライブ好きだからこそ、心のケアも重要です。
もし、「もしかしたら、うつ病かも」と思うのであれば、下記のセルフチェックも試していただけたらと思います(その場で結果が出ます)。
対策
気分の落ち込みや意欲低下、睡眠の問題などが長く続く場合は、医療機関に相談しましょう。
また、治療薬の中には眠気など運転に影響する可能性があるものもあります。
薬を服用している場合は、運転して問題ないか医師や薬剤師に確認することも大切です。
「運転できるかどうか」だけでなく、安全に集中して運転できる状態かを考えるようにしましょう。
運転に必要な運動神経に関する病気

痛風・高尿酸血症――「足が痛くてペダルを踏めない」を防ぐ
痛風発作では、足の親指などの関節に突然、激しい痛みや腫れが起こることがあります。
「歩けないほど痛い」という状態になれば、アクセルやブレーキの操作にも当然影響します。
筆者の周りでも、「左足だったから辛うじて車が運転できた」という人もいます。
対策
尿酸値が高いと言われたら、まず放置しないことが重要です。
食事、飲酒、体重、運動など生活習慣を見直し、必要なら医師の指導を受けます。
また、水分不足にも注意したいところです。痛風・高尿酸血症のガイドラインでは、尿酸の排泄を促すための飲水についても扱われています。(痛風学会)
日々の生活においては、「喉が渇いてから飲む」のではなく、こまめに水分を取ることを意識するようにしましょう。
ただし、糖分の多い飲料やアルコールを水分補給の代わりにするのは避けましょう。
遠出先でご当地グルメやお酒を楽しむのもドライブの醍醐味ですが、毎回のように食べ過ぎ・飲み過ぎにならないようにすることも大切です。
パーキンソン病などの神経疾患――「反応する力」を守る
運転では、アクセルやブレーキを踏む、ハンドルを切る、周囲を確認するなど、身体を素早く正確に動かす必要があります。
パーキンソン病などの神経疾患では、動作の遅さ、筋肉のこわばり、震えなどが現れることがあります。
対策
大切なのは、身体の変化を「年齢のせい」で片付けないこと。
- 歩く速度が以前より遅くなった
- 手足の震えが続く
- 身体が動かしにくくなった
- 反応が遅くなったと感じる
- 運転中にペダル操作などでヒヤリとする
といった変化があれば、医療機関に相談しましょう。
病気があっても、状態や治療によって生活の仕方は変わります。
重要なのは、早めに状態を把握し、必要なら運転について医師に相談することです。
頸椎・腰椎の病気――「振り向ける身体」を維持する
運転では、前だけを見ていればいいわけではありません。
車線変更、右左折、バック、駐車などでは、首を動かして周囲を確認します。
首や腰の痛み、可動域の制限が強くなると、こうした動作が難しくなる場合があります。
対策
まずは、痛みを我慢して運転し続けないこと。
長距離ドライブでは、
- 同じ姿勢を長時間続けない
- 適切なシートポジションを設定する
- 休憩時に身体を動かす
- 首や腰に強い痛みやしびれがあれば受診する
といった対策を取りましょう。
ドライブ好きにとっては、「座って運転できる」だけでなく、「安全確認のために身体を動かせる」ことも重要です。
骨粗しょう症――「車から降りた後」も大切
骨粗しょう症は、直接運転能力を低下させる病気ではありません。
しかし、年齢を重ねてもドライブを続けたいなら、無視できません。
骨折してしまえば、歩行や外出そのものが難しくなり、クルマに乗る機会を失ってしまうこともあります。
対策
骨を守るためには、
- 適度な運動
- バランスのよい食事
- カルシウムやビタミンDなどを含む適切な栄養
- 日常生活での転倒予防
- 必要に応じた骨密度検査
などを意識します。
特に年齢を重ねてからは、「運転できる身体」だけでなく、「車から降りて観光地を歩ける身体」も維持することが大切です。
突然の発症により事故につながる恐れのある病気

心筋梗塞・狭心症――「突然」を防ぐ
ドライブ好きにとって特に怖いのが、運転中に突然起こる病気です。
心筋梗塞や狭心症などの心血管疾患は、胸の痛みや圧迫感、息苦しさなどを起こすことがあります。
運転中の発症は、自分だけでなく周囲を巻き込む事故につながる可能性もあります。
対策
重要なのは、動脈硬化のリスクを日頃から管理すること。
特に、
- 血圧
- LDLコレステロール
- 血糖
- 体重
- 喫煙
- 運動不足
などをチェックしましょう。
健康診断で異常を指摘された場合は、そのままにせず医師に相談すること。
また、運転中に突然胸が強く痛む、冷や汗が出る、強い息苦しさがあるなどの症状が出た場合は、無理に運転を続けてはいけません。
脳梗塞――「突然の麻痺」を防ぐ
脳梗塞も、運転中に発症すると非常に危険な病気です。
突然、
- 片側の手足が動かしにくい
- 顔の片側がゆがむ
- ろれつが回らない
- 言葉が出ない
などの症状が出ることがあります。
対策
脳梗塞の予防では、高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満、喫煙などをまとめて管理することが重要です。国立循環器病研究センターも、血圧だけでなく糖尿病、脂質異常症、肥満などを含めた包括的な管理を重視しています。(国立国際医療研究センター)
特に血圧は重要です。
「血圧が高いけど元気だから大丈夫」ではなく、定期的に測定し、必要なら治療を受ける。
それが将来のドライブを守ることにもつながります。
高血圧――「症状がない」からこそ要注意
高血圧は、ドライバーに限らず誰もが気をつけたい代表的な生活習慣病です。
怖いのは、血圧が高くても本人にはほとんど自覚症状がないこと。
その一方で、長期間の高血圧は脳卒中や心血管疾患のリスクになります。
対策
まずは自分の血圧を知ることが重要です。家庭血圧を測る習慣をつけるのも一つの方法です。
そのうえで、
- 塩分を取りすぎない
- 適正体重を維持する
- 運動習慣をつける
- 飲酒量を見直す
- 喫煙している場合は禁煙する
- 医師から薬を処方されている場合は自己判断で中断しない
といった対策を続けます。
高血圧は、脳梗塞や心筋梗塞など「ドライブ中に起きてほしくない病気」の土台になるため、毎日の健康管理に組み込んでおきたい項目と言えるでしょう。
脂質異常症――「見えないところ」で進む動脈硬化
LDLコレステロールなどの異常も、症状がないまま進むことがあります。
脂質異常症は動脈硬化を進め、心筋梗塞や脳梗塞などにつながる可能性があります。(国立国際医療研究センター)
対策
健康診断で、
- 「LDLコレステロールが高い」
- 「中性脂肪が高い」
と言われたら、その結果を放置しないこと。
食生活や運動習慣を見直し、それでも改善しない場合やリスクが高い場合は、医師と治療について相談するといった流れになります。
脂質異常症は、「今は何ともないから大丈夫」ではなく、将来の心筋梗塞・脳梗塞を防ぐために管理する病気と考えると分かりやすいでしょう。
15の病気を「ドライブに必要な能力」で考える
ここまで15個の病気・健康上の問題を紹介しました。
こうして並べてみると、単なる「中高年が気をつけたい病気の一覧」とは少し違うことが分かります。
ドライブには、以下の能力が必要であり、それに関係する病気も多数あります。
- 見る:緑内障、白内障、糖尿病による目の合併症
- 聞く:難聴
- 判断する:認知症・MCI、神経疾患、精神疾患、睡眠時無呼吸症候群
- 身体を動かす:痛風、パーキンソン病、頸椎・腰椎の病気
- 突然の大病を防ぐ:心筋梗塞、脳梗塞、高血圧、脂質異常症
また、骨粗しょう症のように、直接運転能力を奪うわけではなくても、「クルマに乗って出かけられる身体」を維持するために重要な病気もあります。
まとめ:愛車にも、自分にも「定期点検」を

クルマは、壊れてから修理するより、異常が小さいうちに点検したほうがいい。
身体も、ある意味では同じです。
目の見え方が変わったら眼科へ。
聞こえ方が変わったら耳鼻科へ。
血圧やコレステロール、血糖、尿酸値に異常があれば放置しない。
眠気や記憶力、身体の動きに変化を感じたら、「年齢のせい」と決めつけない。
もちろん、すべての病気を完全に防ぐことはできません。
それでも、早く見つけることで対策できる病気はたくさんあります。
愛車には車検があり、定期点検があり、オイル交換があります。
だったら、自分の身体にも「定期点検」を。
大好きなクルマに乗って、知らない道を走り、好きな景色を見に行く。
そんな時間を一日でも長く楽しむために、愛車だけでなく、自分自身のメンテナンスも始めてみてはいかがでしょうか。
愛車を大切にするなら、自分の身体も。
それが、いつまでもドライブを楽しむための、いちばん大切なメンテナンスなのかもしれません。

