2025年10月31日、与野党6党はガソリン暫定税率(1リットルあたり25.1円)を12月31日に廃止する方針で大筋合意したことが発表されました。
また、軽油引取税の暫定税率(同17.1円)についても2026年4月1日に廃止することが合意されました。
一見すると、ガソリン代が1リットルあたり約25円安くなるかのように感じますが、実際のところはどうなるでしょうか。
本記事では、ガソリン暫定税率廃止により、どれだけガソリン代が安くなるのかを解説します。
そもそも、暫定税率って何?

ガソリンの暫定税率は1974年、第7次道路整備五か年計画(1973〜1977年度)の財源不足を理由に、当時の田中角栄内閣の下で導入されました。
背景としては高度経済成長期のインフラ需要増や、1973年の第1次オイルショックによる財政悪化があります。
この暫定税率は、揮発油税の本則税率に上乗せする形で導入されましたが、揮発油税は1954年に道路特定財源化されていたことから、新たに導入された暫定税率による増収分も道路整備を目的とする道路特定財源として位置づけられました。
なお、暫定税率は当初「2年間の臨時措置」とされていましたが、その後繰り返し延長され、名前を変えながらも現在に至るまで継続しています。
また、2008年に道路特定財源制度の見直しが進められ、2009年に道路特定財源制度が廃止されました。
このためガソリン税や自動車関連の税収は一般財源化され、現在では道路整備に限らず活用されています。
引用:暫定税率とはなにか -歴史的経緯と今後の課題-~ガソリン暫定税率を巡る50年の攻防~|第一生命経済研究所
暫定税率廃止でガソリン代はいくら安くなる?

原油価格が変動しないことを前提とするならば、1リットルあたり約15〜17円値下がりする見込みです(2025年11月2日現在)。
なお、ガソリン小売価格の内訳は下記の通りとなっています。
- 本体価格
- ガソリン税(本則+暫定)
- 石油石炭税
- 温暖化対策税
- 消費税
※ガソリン税、石油石炭税、温暖化対策税にも消費税がかかる
下記の表に、シミュレーション結果を示します。
ガソリン価格の変動シミュレーション
| 日付 | 11/1 | 11/13 | 11/27 | 12/11 | 1/1 |
|---|---|---|---|---|---|
| ガソリン価格(円) | 170 | 165 | 160 | 155 | 153 |
| ガソリン補助金(円) | 10 | 15 | 20 | 25.1 | 0 |
| 暫定税率(円) | 25.1 | 25.1 | 25.1 | 25.1 | 0 |
| 内消費税(円) | 15.45 | 15.45 | 15.45 | 15.45 | 13.95 |
注意点として、2025年11月2日時点で既に10円のガソリン補助金が適用されています。
暫定税率廃止に向けて追加で適用されるガソリン補助金はプラス15.1円になる見込みとなっているため、現在の価格からそのまま25円安くなるという訳ではありませんので、その点は注意点と言えるでしょう。
下記の記事もわかりやすく解説されていますので、そちらも閲覧いただければと思います。
参考:ガソリンいつから安くなる!?暫定税率廃止に向けてのスケジュールまとめ|gogo.gs
本当にガソリンは安くなる?

暫定税率廃止のため、暫定税率25.1円+消費税2.5円の約28円分税金は安くなります。しかしながら、先述の通り、すでにガソリン補助金が10円適用されているため、原油価格が変動しなかったとしても、1リットルあたり15〜17円の値下がりになる見込みです。
また、円安の進行や原油生産量の減少などにより、原油価格が高騰する可能性もあります。
そのような場合、先ほどのシミュレーション通りにはならないと言っても過言ではないでしょう。
まとめ:年末に向けて安くなる見込みだが、原油次第

暫定税率廃止に向けて、12月11日からガソリン1Lあたり約15〜17円安くなる見込みです。
年明けには暫定税率が廃止されますが、ガソリン補助金が無くなるため、年始にグッとガソリンが安くなることはないと考えても差し支えないと言えるでしょう。
また、当面はガソリン価格が安くなる見込みですが、何らかの要因で原油価格が高騰してしまった場合、家計への効果が相殺されてしまう可能性もあります。
とは言えども、当初2年間だけの予定であった暫定税率ですが、約50年を掛けて本格的に廃止される動きになったのは一般家計として喜ばしいことと言えるでしょう。

