2025年4月1日より、普通自動車免許のいわゆる「MT免許の取得」に関する法令が改正され、MT免許取得に関する教習内容や検定方法が変わります。
大きく変わるのが、MTで免許を取得したい人もAT限定免許の教習内容がベースになり、MT車での教習は場内での4時限のみというものです。
一方、「たった4時限の教習でMT車を運転できる気がしない…」と感じる方もいるかもしれません。
そこで、本記事では教習内容の変更点や、新制度でのMT車での免許取得をスムーズに行うためのポイントをまとめてみましたので、これからMT免許を取得したいと考えている方はぜひ参考にしてみてください。
府令の原文:道路交通法施行規則の一部を改正する内閣府令(令和6年内閣府令第60号)
法改正の概要と狙い

従来であればMT車にて仮免許を取得し、卒業検定までMT車で行っていました。
今回の法改正により、MT免許の取得方法が次のように変更になります。
- AT教習+限定解除審査による取得
- AT教習+MT教習による取得
- (移行期間中のみ)従来通りのMT教習
※①・②の場合、AT教習31時限+MT教習4時限となる
この法改正について、AT限定免許を取得する人の方が多数派であることや、少子化が進んでいることから、そもそも運転免許を取得する人が減っていることが背景としてあるものと考えられます。
さらに、改正前の制度ではMT受講者とAT受講者とでは教習カリキュラムや修了検定・卒業検定を別々に行う必要がありました。
2025年3月時点ではバタバタしている教習所も多いようですが、今回の法改正に伴って、教習所における業務負担が軽減されるものと思われます。
また、移行期間中は従来方式の教習を行う教習所もありますので、自身に適していると思われるプランの教習所を選ぶことが大切です。
参考:法改正によりマニュアル車の教習が変わります|免許でエース、2025年4月1日より普通免許マニュアル(MT)車の取得方法が変わります!|合宿免許スクール
AT教習+限定解除審査による取得方法
このパターンの場合、一旦AT車で卒業検定を実施し、その後にAT限定解除審査を行うことでMT免許を取得するということになります。
この場合、卒業検定に合格することでAT卒業証明書が発行され、AT限定解除審査に合格するとMT審査合格証明書が発行されます。
その後、AT卒業証明書とMT審査合格証明書の2通を持参して本免学科試験を合格することで、MT免許が交付されます。
卒業検定まではAT車に専念することができるというメリットがある一方、卒業検定と限定解除審査を別日で受験する必要があるのがデメリットとなっています。
AT教習+MT教習による取得方法
このパターンの場合、AT車で卒業検定前のみきわめまで実施した後MT教習を4時限行い、最後に卒業検定に合格することでMT免許を取得するということになります。
この場合、1日で卒業検定を2回受験し、2つとも合格することでMT卒業証明書が発行されます。
その後、MT卒業証明書を持参して本免学科試験を合格することで、MT免許が交付されます。
こちらのパターンでは卒業検定を1日で終わらせられるというメリットがありますが、1日でAT車(路上・場内)とMT車(場内のみ)の両方を運転して卒業検定を受ける必要があり、負担が大きいというデメリットがあります。
(移行期間中のみ)従来通りのMT教習
このパターンの場合、最初から最後までMT車での教習を行い、卒業検定に合格することでMT免許を取得するということになります(2時限のみAT車教習あり)。
この場合、卒業検定に合格することでMT卒業証明書が発行されます。
その後、MT卒業証明書を持参して本免学科試験を合格することで、MT免許が交付されます。
こちらのパターンではMT車の運転操作を身に付けやすいことや、MT車での路上走行を経験できることがメリットですが、初めて免許を取得する人にとっては注意すべきポイントが多く、免許取得へのハードルが高くなりやすいことがデメリットと言えるでしょう。
教習内容の変更点とメリット・デメリット

法改正後のMT免許教習内容は、「AT限定免許教習+AT限定解除審査」というスタイルに改められたという形になります。
そのため、路上教習は全てAT車での実施となります。また、MT車での教習時限数は4時限になります。
法改正による変更点をまとめると、次の通りになります。
改正前 | 改正後 | |
---|---|---|
技能教習時限数 | 第一段階:15時限 第二段階:19時限 計:34時限 | 第一段階:12時限 第二段階:19時限 MT教習:4時限 計:35時限 |
検定回数 | 2回 (修了検定、卒業検定) | 3回 (修了検定、卒業検定、限定解除審査) |
使用する車両 | MT車 (1時限程度AT車教習あり) | 第二段階までAT車 AT限定解除審査時のみMT車 |
引用:車種別教習時限数:合宿免許エキスパート、【重要】2025年2月以降に普通MT免許取得をご希望のお客様へ:星が丘自動車学校
第二段階までは運転の基本を身につけるのに専念できる

第二段階まではAT車で技能教習を実施します。そのため、ハンドル操作に集中しやすいです。
また、AT車ではエンストしないため、MT車教習の難関とも言われている「坂道発進」も難しくないです。
運転の基本身につけてからMT車の運転に慣れることができるという点では、法改正後の方が優れていると思われます。
修了・卒業検定をAT取得者・MT取得者一括で行える
受講者としてはほぼ関係ないですが、教習所としては業務負担の軽減につながります。
例えば、修了検定や卒業検定の場面では、1台の教習車に2人の受験者が乗車することがほとんどです。
また、受験者が1名の場合は検定員とは別に、もう1人教習所の職員が同乗します(筆者がAT限定解除したときはそうでした)。
現行制度ではAT免許取得予定者とMT免許取得予定者とでは教習内容が異なるため、両者を同乗させて検定を行うことができません(途中交代するため)。
しかし、法改正後はAT免許取得予定者とMT免許取得予定者のどちらも第二段階まではAT車での教習ですので、検定時には同乗させ一括して検定を行うことができます。
教習中におけるMT車の運転機会がかなり少なくなる
従来の取得方法では、第一段階・第二段階合わせて30時限程度はMT車での運転練習ができました。
今回の法改正により、第二段階までは全てAT車での教習となります。そのため、MT車での教習はたったの4時限と、ギアチェンジやクラッチ操作などの練習機会はかなり限られたものとなってしまいます。
スムーズにMT免許を取得するためには、AT限定解除教習から卒業検定まで期間を空けないことが重要です。
MT車での路上教習がなくなる

場内でも路上でも、基本的なMT車の運転方法は同じです。しかし、3〜5速は公道での教習でないと使用する機会がありませんし、何より山道走行は筆者自身も最初はどのように走行すべきか苦労したものです。
身近にMT車が借りられるような状況であればさほど問題ありませんが、そうでなければいきなり1人で公道に出る事になります。
個人的な考えですが、MT車での路上走行や山道走行教習を、オプションなどといった形で教えてもらえるようにできないか?と思います。
MT免許をスムーズに取得するためにするべきポイント

ネックになってくるのはほぼ間違いなく、AT限定解除審査の4時限と思われます。
ネット上では「4時限では時間が足りないのではないか?」という声もありますが、ポイントを抑えれば4時限(補講なし)でも取得自体は可能です。
本記事でもAT限定解除審査におけるポイントを軽く紹介します。
詳細については下記のページにまとめてありますので、そちらもぜひ参考にしてもらえればと思います。

期間を空けない
これは教習全体を通して言えることですが、教習の期間をなるべく空けず、短期集中で取得することが上達への近道です。
学生などまとまった時間を確保できる方は、合宿免許や短期間集中コースでの免許取得をおすすめします。
\少しでもお得に免許を取得しよう!/
教本やYouTubeなどで予習・復習する
教習時間は4時限(内、1時限は見極めなので実質3時限)と、非常に少ない時間でMT車の運転方法をマスターしなければなりません。
そのため、補講なしで教習を終わらせるためには予習・復習が非常に重要です。
一方、ここ数年でMT車の運転に関する動画がたくさんアップされています。
わかりやすいものも多いので、気に入った動画を探すのも手です。
おすすめ動画についてはページ最後にまとめていますので、そちらもぜひ参考にしてください。
免許取得後の公道での運転について

晴れてMT免許を取得すれば、公道でもMT車を運転することができるようになります。
しかしながら、公道での教習はAT車でしか行っていないため、不安になる方も多いかと思います。
免許取得後に、公道などで練習すべき内容は主に次のような内容です。
- ⚫︎加速チェンジ・減速チェンジ
- ⚫︎傾斜のある駐車場での駐車
- ⚫︎山道走行
公道でするべき練習内容の詳細については下記のページにてありますので、そちらもぜひ参考にしてもらえればと思います。

加速チェンジ・減速チェンジ
まず練習すべき内容は言うまでもなく、「加速チェンジ」と「減速チェンジ」です。
教習所内では、ほぼ2速までしか使用しないため、3速以上に入れるタイミングが分からないかと思います。また、場内で停車する際はシフトチェンジせずに停車していたかと思います。
しかし、公道で走行する際は、速度に応じてギアを選ばないと燃費が悪化したり、減速する際に必要なブレーキ力が得られにくかったりします。
加速チェンジはもちろんのことですが、万一、前方車が急ブレーキをかけた際に少しでも対応できるよう、減速チェンジも練習してください。
サイドブレーキを引かずに坂道発進(主にゆるい坂道)
自宅の駐車場や店舗の駐車場など、傾斜のある駐車場は意外と多いです。
このような場面では、素早く確実に半クラッチを作り、状況に合わせてアクセルを調整することが必要になります。
このような場面でもスムーズに運転できるよう、ゆるい坂道などではサイドブレーキを引かずに坂道発進する練習をしておきましょう。
山道走行

平坦路での走行に慣れてきたら、山道での運転も練習しておきましょう。
山道での運転練習では、次のようなことが身につきます。
- ⚫︎シフトアップ・ダウンの練習になる
- ⚫︎適切なギアを選んで走行する必要性がわかる
- ⚫︎エンジンブレーキの重要性がわかる
山道はカーブが多いため、シフトダウン・アップを適切に行うことがスムーズな運転につながります。
また、登坂車線のあるような長い上り坂では、適切なギアを選んで走行しないとみるみる失速してしまいます(特に軽自動車)。
このため、山道走行ではシフトチェンジの重要性が身体で身につくため、是非とも練習しに行ってほしいと思います。
まとめ

従来の取得方法では、30時限程度はMT車での運転練習ができたのに対し、今回の法改正により、MT車での教習はたったの4時限と、ギアチェンジやクラッチ操作などの練習機会はかなり少なくなってしまいました。
そのため、少しでもMT車の運転に慣れたかったという人にとっては難易度が上がったと思うでしょう。
一方、まずは運転の基本を確実に習得し、その後にMT車独特の運転方法を集中して身につけることができると考えれば、従来の方法よりもむしろ難易度が下がったと考えることもできます。
ただし、MT車の運転技術を身につけるのはたったの4時限ですので、なるべく期間を空けずに技能教習を受け、教習前後には予習・復習を欠かさないことが重要であると言えます。
特に、学生などまとまった時間を確保できる方は、合宿免許や短期間集中コースで免許取得するのがおすすめです。
\少しでもお得に免許を取得しよう!/
おすすめ動画
ここでは筆者が個人的にいいなと思った動画を複数紹介します。
「教習前向け」「教習中向け」「免許取得後向け」と分けましたが、自分のレベルや知りたいことなどに応じて見てもらえればと思います。
教習前向け
【マニュアル車】運転の練習方法と苦手克服のためにすること
スバルBRZ(6MT)を愛車としているYouTuberの、欅まつやさんによる動画です。
こちらの動画では靴選びからシートポジションの重要性、MT車の練習方法(免許取得後、自家用車で練習する方向け)が解説されています。
靴選びは非常に重要なため、「教習前向け」に分類しました。
免許取得中・取得後でも役立つ動画ですので、公道練習前に見るのにもおすすめの動画となっています。
教習中向け
【現役教官が教える】そこが知りたかった!MT車の発進!半クラ苦手意識サヨウナラ。
現役で自動車学校教官をされているYouTuberの、ムラシ―さんによる動画です(ムラシーさんの動画は他の動画も含めて非常にわかりやすいです)。
こちらの動画では、クラッチとは何か?というところから、クラッチ操作のコツ、なぜMT車の発進はなぜ難しいかなどといった内容が解説されています。
この動画ははっきりいって必見です。
この動画ひとつ見るだけで、MT車運転の今後を分けるといっても過言ではないです。
【現役教官が教える】坂道発進が苦手で嫌いな人!ここに集まれ!
こちらの動画では、MT車で最も難関とされている坂道発進に関する内容が解説されています。
AT車では特段気を使う必要のない坂道発進ですが、MT車ではどのような手順を踏んで坂道発進するのかをまとめている動画となっています。
【現役教官が教える】マニュアル車で低速を作る方法を2分で解説してみた。
こちらの動画では、MT車での低速の作り方に関する内容が解説されています。
S字・クランクといった狭路走行で必要になるテクニックですので、予習・復習に活用してもらえればと思います。
MT車でS字を通る時には〇〇に注意せよ!失敗の元凶を徹底解説!(教習所技能検定)
現役で自動車学校教官をされているYouTuberの、アルバカさんによる動画です。
こちらの動画では、MT車でS字を通過するためのコツについて解説されています。
先ほど紹介した「【現役教官が教える】マニュアル車で低速を作る方法を2分で解説してみた。」を視聴した後で見るとさらに理解が深まると思います。
クランクの通り方マニュアル編!いかに半クラッチも意識するかが大事!
こちらの動画では、MT車でクランクを通過するためのコツについて解説されています。
基本的なコツはS字と同じですが、クランク走行が苦手な方はこちらを見るとよいでしょう。
こちらもS時と同様、先ほど紹介した「【現役教官が教える】マニュアル車で低速を作る方法を2分で解説してみた。」を視聴した後で見るとさらに理解が深まると思います。
免許取得後向け
【現役教官が教える】今すぐ試したくなる!加速チェンジのコツ!
こちらの動画では、加速時に必要となる「加速チェンジ」の解説動画です。
一般道・高速道路などでスムーズに加速するのに必要な技術ですので、しっかりとマスターしましょう。
【現役教官が教える】そこだったのか!減速チェンジのポイント!
こちらの動画では、減速・停止時に必要となる「減速チェンジ」の解説動画です。
加速チェンジと同様、一般道・高速道路などで減速するのに必要な技術です。
また、追突リスクを下げたり、より安全に山道走行したりするのにも必須ですので、こちらもしっかりとマスターしましょう。
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