普通免許を取得するには「MT」で取得するか、「AT」で取得するかを最初に選ぶことになります。しかし、車に詳しくない方などにとってはMT車とAT車の違いがわからず、どちらを取得すべきか悩むかと思います。
筆者の意見としては、少しでも迷っているならMTでの取得をオススメします。
本記事ではMT車とAT車の違いを解説し、「MTでの取得がオススメな人」と「ATでの取得がオススメな人」について解説します。これから運転免許を取得する方はぜひ参考にしてみてください。
MT車とAT車の違い
「アクセルで加速」、「ブレーキで減速・停止」、「ハンドルで進路変更」するというのはほとんどの方が知っているかと思います。これについてはAT車もMT車もほぼ同じです。では、AT車とMT車は何が違うのでしょうか。
それは、ギアチェンジを「車が行う」のか、「人の手で行う」のかの違いです。
ギアチェンジとは、自転車を漕ぐときの変速機操作と同じものと思ってもらって大丈夫です。
自転車を漕ぐ場合、最初は「1」などペダルの軽いギアを選び、スピードを上げるにつれて「6」に近いギアを選びますよね。
自動車も同様、発進時は小さな力で動かせるように「1」に近いギアを、発進したらスピードに応じてギアの段数を選んで走行します。
このギアチェンジを手動で行うのが「MT車」、車が自動で行ってくれるのが「AT車」となります。
AT車
AT車はシフトレバーを「D」に入れてしまえば、ギアチェンジを自動で行ってくれます。発進・加速するときは「アクセル」、減速・停止するときは「ブレーキ」、向きを変えるときは「ハンドル」というシンプルな運転方法であるため、MT車と比べて運転難易度が低いです。
一方、アクセルとブレーキの踏み間違いをすると、思わぬ事故につながりやすいというデメリットもあります。コンビニやスーパーなどに車が突っ込んでしまうといった事故のほとんどが、ブレーキと勘違いしてアクセルを思い切り踏んでしまったというものです。
尚、ATで免許を取得した場合、MT車は運転できません(限定解除審査に合格すれば運転できるようになります)。
MT車
MT車はAT車とは異なり、速度や道路状況に応じて手動でギアを変える必要があります。また、ギアを変えるには左手で「シフトレバー」を操作しつつ、左足で「クラッチペダル」を操作する必要があるため、AT車よりも運転難易度が高くなります。
特に、MT車の発進は初心者にとって難易度が高く、慣れないうちは「エンスト」することが多いかと思います。
一方、クラッチペダルを操作しないと車が走り出さない構造になっているため、アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故は起こりにくいとされています。
MTで免許を取得した場合、MT車・AT車どちらも運転することができます。
MTとAT、どっちで取得するのがおすすめ?
筆者の主観ですが、MTで取得するのがオススメな人と、ATで取得するのがオススメな人をまとめてみました。
MTでの取得をオススメする人
- スポーツカーやバイクに興味がある人
- 運送業界や建設業界に就職したい人
- 機械工学を学んでいる学生
- MTで免許を取得したいけど、自信のない人
ATでの取得をオススメする人
- とりあえず自動車免許を取得できればOKという人
- 少しでも免許取得費用を抑えたい人
MTでの取得をオススメする人
スポーツカーやバイクに興味がある人
将来、スポーツカーやバイクに乗りたいと考えているならMT一択です。理由は、車両購入時に選択肢を増やせるからです。
例えば、新車で購入できる86やロードスターであっても、中古車として流通しているMT車の割合は全体の約6割を占めています(2024/1/16現在、カーセンサーより検索)。また、シビックタイプRなど、MT車しか設定されてない車種も数少ないですが存在します。
バイクは関係ないんじゃない?と思う方もいるかと思いますが、MT車の運転理論は基本的に自動車もバイクも同じです。また、二輪AT限定免許は基本的にスクーター型のものしか乗れません。したがって、二輪免許を取得したいのであれば自動車免許もMTで取得しておくのがよいと言えます。
運送業界や建設業界に就職したい人
トラックやバス、ユニック車、ミキサー車などを運転するには中型自動車免許や大型自動車免許が必要になることが多いです。一方、2024年1月時点において、中型自動車免許や大型自動車免許をAT限定で取得する方法は存在しません。
したがって、MT車の運転に慣れるためにも、普通免許取得時にはMTで取得するのがよいと言えます。
ただ、将来的には人手不足の解消や労働環境改善の一環として、AT車・AMT車が現在以上に増えてくるかと思います。また、AT限定免許の在り方に関する研究が行われており、将来的には大型自動車免許等にもAT限定免許で取得できる時代がくるかもしれません。
(参考:令和3年度「AT限定免許の在り方に関する調査研究」(概要)|警察庁)
機械工学を学んでいる学生
機械工学を学んでいる学生であれば就職先の候補として、自動車メーカーやその関連企業が入ってくるかと思います。
AT限定免許であったとしても就活で不利になることはないかと思われます。しかし、機械工学を学んでいるのであれば、トランスミッション関係の設計開発に従事するかもしれません。そうなれば、MT車も運転できた方が、より良い製品の開発につながるかと思われます。
また、機械工学を学んでいくと「減速比」について触れるかと思いますが、この応用例の最たるものがトランスミッションになります。MT車を運転すると減速比がどのようなものかを体感しやすいと思うので、機械工学系の学生はぜひMTでの取得をチャレンジしてしてみてください(学部2年次までに取得するのをオススメします)。
MTで免許を取得したいけど、自信のない人
自信がないなら最初はAT限定で取得して、運転に慣れてから限定解除すればいいのでは?と思う方もいるかと思いますが、むしろ、自信がない人ほど最初からMTでチャレンジしてみるべきだと思います。その理由としては、
- AT限定解除での技能教習は4時限しかない(最初からMTだと路上含め約30時限練習できる)
- AT限定解除教習では路上教習がない
- どうしても厳しい場合はAT限定での取得に途中変更できる
という理由です。筆者は限定解除でMT車に乗れるようになりましたが、路上教習がなかった分、初めて公道に出るのが非常に怖かったという思い出があります(しかも、検定含めてたったの5時限しか運転していないという…笑)。
現在ではYouTubeなどでクラッチ操作や坂道発進のコツなど、分かりやすいコンテンツが多数発信されています。苦手な項目があれば、そちらを調べてみるのもよいでしょう。
ATでの取得をオススメする人
とりあえず自動車免許を取得できればOKという人
現在の乗用車の9割以上がAT車です。したがって、AT限定であっても日常生活において不便することはほぼないでしょう。レンタカーもほとんどがAT車であり、MT車のレンタカーを探す方が難しいぐらいです。
MT車を運転する予定がないのであれば、AT限定免許で十分と言えます。また、MT車を運転する必要性が出てきた場合には、AT限定解除審査に合格する事でMT車に乗ることができます。
AT限定解除審査の記事については下記にまとめましたので、気になる方はそちらも参考にしてもらえればと思います。
少しでも免許取得費用を抑えたい人
教習所やプランにもよりますが、ATで取得する場合、MTで取得するよりも約3万円安く免許を取得することができます。また、MTで取得する場合よりも教習時間が3時限短くなります。
こちらについてもMT車を運転する予定がないのであれば、ATで取得するのが合理的と言えるでしょう。
まとめ
MTでの免許取得はATよりも難易度が高く、費用も数万円高くなります。しかし、MTで免許を取得することによって、運転に必要な自動車構造の知識が深まったり、就職先の選択肢を広げることができたりします。また、MT車を運転することで、エンジンブレーキの重要性を実感することができると思います。
現在となってはAT限定免許でも不自由することはほとんどありませんが、MT車を運転することで得られる学びも多いので、ぜひMTでの取得にチャレンジしてもらえればと思います。
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