カーライフ百科事典
クルマの「オトク」と「ワクワク」を、GR86オーナーの車好きがお届け!
車の未来 PR

軽自動車の規格が770ccに排気量アップ!?

本記事には商品プロモーションを含みます

現行の軽自動車の排気量は660ccまでに規制されていますが、将来、排気量が770ccにアップするかもしれないという情報があります。

近年、安全装備の充実化や車内居住性の向上などによって車体重量は増大しており、車種によってはコンパクトカーよりも重くなってしまうケースさえあります。

したがって、現状ではエンジンにとってベストなパワーや燃費を出しにくい規格になってしまっている可能性があり、また、最後の規格改正から28年経過していることから、規格の見直しが必要である、ということです。

基本的な情報については下記の動画を引用しておりますので、興味のある方はこちらも見てもらえればと思います。

軽自動車の規格改定の歴史

軽自動車の規格改定を年表にすると、次の通りになります。

西暦(和暦)排気量改正事由
1949年(昭和24年)150(4サイクル)
100(2サイクル)
規格制定
1954年(昭和29年)360規格統一
1975年(昭和50年)550排ガス規制の対応と、
実用性に必要なパワーの維持の両立
1989年(平成元年)660安全性向上による全長の拡大および、
それに伴う車両重量増加によるパワーダウン対策
1996年(平成8年)正面衝突の速度基準引き上げ

軽自動車の規格制定(1949年7月制定)

「軽自動車」という言葉が登場するのは、昭和24年(1949年)に、従来の「小型自動車」が「小型自動車」と「軽自動車」に分割されたのが始まりだそうです。

翌年の昭和25年(1950年)の法改正により、「軽自動車」の対象は2輪車および3輪車にまで拡げられました。

軽自動車の規格が制定された当時は二輪・三輪・四輪の区分分けがなく、「排気量150cc(4サイクル)・100cc(2サイクル)、長さ2.80m 以下、幅1.0m 以下、高さ2.0m 以下」と、現在よりもかなり小さなサイズで定義されていました。

軽自動車の規格統一(1954年10月改定)

和倉昭和博物館とおもちゃ館に展示されている「スバル360」

昭和29年(1954年)の法改正で、軽自動車の排気量は360cc を上限とするものに統一されました。

以後、昭和50年(1975年)12月末まで軽自動車は「排気量360cc以下、長さ3.0m以下、幅1.3m以下、高さ2.0m以下」と定義されていました。

昭和30年(1955年)に至るまで実際に生産されていたのはほぼ軽二輪車だけといった状態だそうですが、当時は軽自動車は比較的容易に製造できたため、中小企業や異業種企業など、様々なメーカーが昭和20年代から30年代初期にかけて軽自動車の製造に挑戦したそうです。

今ではバイクから乗用車まで手掛けているスズキも、この時代に「スズライトSS」を発売し、自動車業界に参入しています。

この当時の代表的な車種としては「スバル 360」や「ホンダ N360」などがありますが、スバル360は385kg、ホンダN360は475~520kgと、現在の軽自動車よりもかなり軽量であることが分かります。

550ccに排気量アップ(1975年9月改定)

昭和50年(1975年)の法改正で、軽自動車は「排気量550cc以下、長さ3.2m以下、幅1.4m以下、高さ2.0m以下」に定義変更されました。

この法改正により、排気量190cc、長さ0.2m、幅0.1m上限がアップしました。

1960年代後半、360ccで最大36馬力という性能基準が定着したそうですが、1970年代に入ると排出ガスによる大気汚染が社会問題化したそうです。そのため、エンジン性能が抑制される運びになったそうです。

そこで、排ガス規制の対応と、実用性に必要なパワーの維持の両立を目的として排気量を110cc引き上げたそうです。

この時代に「スズキ アルト」や「ダイハツ ミラ」など、現在にわたって販売され続けている車種が誕生しています。初代アルトは540~560kg、初代ミラは550kgであり、アルトは現行モデルより最大220kg、ミラは現行ミライースより最大100kg軽量です。

660ccに排気量アップ(1989年2月改定)

平成元年(1989年)の法改正で、軽自動車は「排気量660cc以下、長さ3.3m以下、幅1.4m以下、高さ2.0m以下」に定義変更されました。

この法改正により、排気量110cc、長さ0.1m上限がアップしました。

この法改正は、軽自動車の安全性向上を目的に、全長を拡大しています。また、それに伴う車両重量増加によるパワーダウン対策として、排気量も110cc引き上げたそうです。

幅と長さを拡大し、現行の制度へ(1996年9月改定)

更に、平成8年(1996年)の法改正で、軽自動車は「排気量660cc以下、長さ3.4m以下、幅1.48m以下、高さ2.0m以下」に定義変更されました。

この法改正により、長さは0.1m、幅は0.08m上限がアップし、現在に至ります。

この法改正は1989年の法改正と同様の目的ですが、正面衝突の速度基準を普通自動車と同じ50km/h(それまでは40km/h)に合わせ、更なる安全性の向上を目的としたものだそうです。

法改正が施行された1998年には多くの車種がフルモデルチェンジしていますが、その当時に発売された「ワゴンR」や「ムーヴ」の車体重量は概ね730~900kgです。

一方、2023年度に最も売れた「N-BOX」をはじめとする軽トールワゴンの車体重量は850~1010kg程あり、重量が増していることが分かります。

引用:軽自動車の歴史|軽自動車検査協会軽自動車とは|軽自動車検査協会60年超の歴史を誇る「軽自動車規格」 ボディサイズ&排気量の拡大を迫られた理由とは|AUTO MESSE WEB

燃費効率の向上には排気量と車重のバランスが重要

エンジンの特性

動画中にも説明(8:40~12:45)がありますが、エンジンには効率よくエネルギーを消費できる領域があります

エンジンは一般的に、排気量が大きいエンジンであるほど多くの燃料を使用する代わりに、大きなパワーを発生させることができます

軽自動車のエンジンは660ccであるため、普通車と比べると小さなエンジンを搭載していることになります。つまり、エンジン単体で見れば、普通車よりもパワーが小さい分、少ない燃料でエンジンを動かすことができます

しかし、エンジンは車両を動かすための装置である以上、燃費効率を考えるにはエンジン出力と車体重量のバランスが重要になってきます。

加速時や上り坂など、より多くのパワーが必要になる場合には吸気量を増やします。しかしながら、吸気量を増やすと燃料と空気をきれいに混ぜ合わせることが難しくなります。

排気量の小さいエンジンほど、燃焼室内の容積が小さいです。そのため、一気に混合気を作ることが難しく、燃料ロスに繋がりやすいです。

普通車よりも重い「軽自動車」も

最近売れ筋である軽自動車はスライドドア付きの軽ハイトワゴンです。

全国軽自動車協会連合会によると、2023年度は「ホンダ N-BOX」「スズキ スペーシア」「ダイハツ タント」が軽四輪車における売上台数上位3位を占めています。これら軽ハイトワゴンは800~1,000kgほどの車重があります。

一方、「スズキ スイフト」「トヨタ ヤリス」などのコンパクトカー1,200~1,500cc程である上、車種やグレードによっては1,000kgを切るものもあります。

つまり、軽自動車とコンパクトカーは近い車体重量でありながら、倍ほどの排気量差があるため、現在の軽自動車は高負荷運転する頻度が高まっていると言えます。

「軽自動車よりもコンパクトカーの方が燃費が良い」という結果になる要因の一つでもあります。

引用:2023年4月~2024年3月 軽四輪車通 称名別新車販売確報|全国軽自動車協会連合会

車両寸法がアップする可能性は低いと予想

あくまで筆者の予測にはなりますが、排気量を770ccに引き上げたとしても、車体寸法の拡大は行われないと思います。

その理由としては、以下の点が挙げられます。

  • ・重量が増加し、先程の燃費向上に繋がりにくくなる
  • ・コンパクトカーとの差が縮まり、棲み分けが難しくなる
  • ・現行のサイズであっても、成人男性4名が乗車するのに十分なスペースがある

重量が増加し、先程の燃費向上に繋がりにくくなる

今回、排気量アップを検討案として提出しているのは「燃費向上に伴う環境負荷の提言」を目的としています。

一方、排気量アップと同時に車体寸法の拡大を行った場合、車体重量増加を伴う可能性が高くなります。

排気量を引き上げても、安全性を保つことができる?

現在では正面衝突試験(フルラップ前面衝突試験)を55km/hで実施していますが、車体サイズの規格変更は行われていません。

また、「MPDB前面衝突試験」という、新たな試験方法が検討されており、将来的にはこの試験方法によって衝突安全性をはかることになると思われます。

MPDB前面衝突試験では自車乗員の保護に加え、相手車両の乗員保護性能も測定することを検討事項に盛り込んでいます。そのため、従来よりも相対的に軽自動車の安全性は高まると考えられます。

更に、スバル「アイサイト」やスズキ「デュアルカメラブレーキサポート」などのような、事故を未然に防ぐための装置の開発・普及が進んでいます

上記を考慮すると、排気量拡大に併せて車体寸法も拡大するとは考え難いと言えます。

引用:新たな前面衝突試験(MPDB)の試験・評価方法の作成等について|国土交通省

コンパクトカーとの差が縮まり、棲み分けが難しくなる

コンパクトカーの一種である、「スズキ ソリオ」の寸法は全長3790mm、全幅1645mm、全高1745mmとなっています。

軽自動車のサイズは、長さ3.4m以下、幅1.48m以下、高さ2.0m以下に抑える必要があることから、ソリオの車体サイズは軽自動車規格よりも全長39cm、全幅16.5cmオーバーしていることになります。

一方、過去の規格改正の歴史を振り返ると、1回の改正につき全長は約13cm、全幅は6cm拡大されています。

仮に軽自動車の寸法を全長13cm、全幅6cm拡大したすると、ソリオとの差は全長26cm、全幅10.5cmの差になります。

全長は26cmの差があるため、まだまだコンパクトカーとの差があるように感じますが、幅については、握り拳一つ分程度の差しかないことになります。

現行のサイズであっても、成人男性4名が乗車するのに十分なスペースがある

あくまでも筆者の主観になりますが、現在主流の軽トールワゴンは後部座席にも広さに余裕があるように感じます。

筆者の身長は170cm程ですが、「ダイハツ タント」や「スズキ ハスラー」の後部座席に着席しても十分な広さがあると感じました。

無論、成人4人で泊り掛けの旅行に行くなどは厳しいでしょうが、近距離の移動用として使用するには現行規格であっても十分なサイズといえるでしょう。

まとめ:3~5年後には規格改正されるかも?

過去の軽自動車の規格改定を振り返ると、「大気汚染の解消」や「安全性の向上」を主な目的として規格拡大をしており、その副産物として「排気量アップ」が行われています。

今回は、「軽自動車の燃費底上げと、それに伴う環境負荷低減」の手段として、軽自動車の排気量アップを行うべきではないかということが提案されたということになります。

これが実現すれば、燃費向上はもちろんのこと、加速性能の向上など、軽自動車の価値がさらに高まると考えられます。

一方、安全面や利便性、環境性能等を考慮すると、寸法については据え置きになるのではないかと考えられます。

最近では原動機付自転車の規格改正が行わたことから、軽自動車においても規格改正の検討が行われてもよいのではないかと思います。

今後どうなるかは分かりませんが、軽自動車の規格改正の動向が楽しみです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


ABOUT ME
りょー
GR86、ジムニー(JA11)、ミニクーパーS(R53)の3台持ちをしている20代です。趣味はドライブ、旅行、ゲームなど。MT車の運転や車のレビューなど、車に関する様々なことを発信していきます。