エンジンは自動車の中でも最も重要な機器の一つですが、故障してしまうと非常に高額の修理費用が発生してしまいます。
そうならないためにも、日々のメンテナンスや使用方法が重要になってきます。
本記事ではエンジンを少しでも労わるためにできること6選についてお伝えします。
エンジンオイルをこまめに交換する
エンジンを長持ちさせるうえで基本中の基本とも言えるのがオイル交換です。エンジンオイルには、以下の役割があります。
- ●洗浄…エンジン内部の汚れを除去
- ●防錆…コーティング作用による防錆
- ●潤滑…滑らかにエンジンを動かす
- ●冷却…過熱の防止
- ●密封…内部気密性の維持
しかし、エンジンオイルは走行距離や使用期間によって水分やすすなどの汚れが蓄積し、劣化していきます。
劣化したエンジンオイルは上記の役割を果たしにくくなり、そのまま使用するとエンジンの故障に繋がってしまいます。
そのため、定期的にエンジンオイルを交換することが重要です。
引用:エンジンオイルの役割とは?エンジンオイル交換時期の目安も解説
オイル交換を怠り続けた場合、エンジンが故障し、エンジン本体の載せ替えが必要になったり、最悪の場合、車両火災につながります。
上記写真のエンジンは、オイル管理不良により故障したBMWのエンジンです(メーカー指定が20,000kmであることが問題との見解もあり)。
このエンジン故障による修理費用は何と80万円程度になるそうです(画像引用元のブログサイトより)。
外車であるため高額になった可能性もありますが、エンジン故障による修理費用はかなり高額になることは国産車であっても同様と思われます。
また、オイル循環がうまく機能しなくなった結果、エンジンが破損し、漏れたオイルが原因で発火に至ることもあるそうです。
そうならないためにも、オイル交換はこまめに行いましょう。
引用:国土交通省|エンジンオイルの劣化による車両火災について
オイルは指定粘度の物を使用する
エンジンオイルには「0W-20」などと表記されている、粘度と呼ばれるものが存在します。
粘度とはその名の通り、エンジンオイルの粘り気を示す指標になるのですが、車種によって適した粘度が異なります。
粘度の見方については、ハイフン(-)の前が低温時の性能を、後ろが高温時の性能を示しています。
指定粘度と異なるオイルを入れることも可能ですが、その際はディーラーやカー用品店の店員・整備士と相談するようにしましょう。
化学合成油や部分合成油を選ぶ
エンジンオイルの種類は「鉱物油」「部分合成油」「化学合成油」の3種類あります。
このうち、鉱物油は安価ですが、耐熱温度が低いため劣化が早いです。
サーキットでのスポーツ走行をしない方はコスト面も勘案し、「部分合成油」または「化学合成油(鉱物油水素化精製)」を選びましょう。
下記の動画がオイル選びの考え方として非常にわかりやすいため、こちらも参照していただけたらと思います。
引用:【騙されるな】「高いオイルが良い」は嘘!正しいエンジンオイルの選び方を解説します – YouTube
オイルフィルターの交換も忘れずに!
エンジンオイルだけでなく、オイルフィルター(エレメント)も年に1回は交換しましょう。
オイルフィルターの汚損状態がひどい場合、エンジンオイルを上手くろ過することができなくなります。
フィルターの目詰まりがひどい場合はリリーフバルブが動作することでオイル自体は循環しますが、その場合はろ過されていない、汚れたままのオイルがエンジン内部を循環することになります。そのため、エンジンに大きな負荷をかけてしまう恐れがあります。
そのため、オイルフィルターの交換も重要です。
暖機運転は最低限にする
最近の車は「暖機運転は不要です」と取扱説明書に記述されていることが多いです。この理由は2つあります。
- 燃料噴射装置にインジェクターを使用している
- 工作精度が上がり、粘度の低いオイルが使用できる
燃料噴射装置にインジェクターを使用している
燃料噴射装置がキャブレターであった時代、暖機運転を行ってから走行する方が、エンジンのパフォーマンスが上がることから、暖機運転は必須であるとされていました。
しかし、現在の車の燃料噴射装置はインジェクターを使用しています。
インジェクターは電子制御であるため、コンピュータによる細かい制御が可能となっています。
そのため、暖機運転を行わなくても大丈夫なんだそうです。
工作精度が上がり、粘度の低いオイルが使用できる
時代の経過とともに、部品の工作精度が向上しています。
そのため、昔の車と比べてより密封性が高いエンジンを製作することが可能になりました。
これにより、低温粘度の低いオイルが使用できるようになり、暖機運転が不要になったそうです。
不要な暖機運転はエンジン内部にすすがたまる原因に
エンジンが冷えている場合、通常時より燃料を濃くしています。
そのため、エンジン内部にすすがたまりやすくなります。
厳冬期など、車内の曇りやガラス面の霜落としのための暖機運転は安全上必要ですが、それ以上の暖機運転はエンジン内部にすすが溜まってしまい、エンジンにとってもよくないそうです。
暖機運転に関しては説明書に記載されていることが多いので、不要である車種に関しては「暖機運転」ではなく「暖気走行」を行いましょう。
暖気走行とは、エンジンの回転数が上がりすぎない程度にゆっくり走ることを指します。
こちらの方が、エンジン以外にもトランスミッションやタイヤなど、他の部品も併せて温めることができますし、エンジン自体も早く温まります。
引用:【衝撃の事実】暖機運転の誤解と真実がヤバすぎる…【ゆっくり解説】【クルマの雑学】【マニュアル車】 – YouTube
最低でも週1回はエンジンをかける
エンジンオイルは重力により、徐々にエンジン内部の下の方に落ちていきます。つまり、上側はオイルによる膜が無くなっている状態になります。
この状態でエンジンを始動すると、エンジン内部の金属部品同士が直接高速でこすれ合うことになり、摩耗が早まる原因となってしまいます。
これを防ぐためにも、少なくとも週1回はエンジンをかけ、オイルを循環させるようにしましょう。
また、エンジン内部に水滴がたまるのを防ぐため、可能であれば数kmほど走行するのが望ましいでしょう。
ガソリンタンクを空に近い状態で走行しない
燃費を考える上では、ガソリンタンクは空に近いほうがよくなります。
しかし、万一ガス欠を発生させてしまった場合、燃焼室の冷却が追い付かず、ピストンに穴が開いてしまったり、直噴エンジンの場合はインジェクターノズルの損傷の原因になってしまうそうです。
また、燃料ポンプやモーターの劣化にもつながるため、エンジンや関係機器の劣化防止という観点では、燃料タンクを空に近い状態での走行はなるべく避けた方が良いと言えそうです。
引用:【危険】エンジンの寿命を縮める危ない行為 8選【ゆっくり解説】【クルマの雑学】 – YouTube
月1回はバイパス道や高速道路を走行する
普段の通勤や買い物などに数kmだけ車を使用する「ちょい乗り」は、エンジンの回転数がなかなか上がらず、エンジン内部にすすが溜まりやすい乗り方になります。
このように、ちょい乗りでの使用が基本となっているのであれば、たまには高速道路や信号の少ないバイパス道路など、60km/h以上で巡航できる道路でドライブすると効果的です。
引用:【危険】エンジンの寿命を縮める危ない行為 8選【ゆっくり解説】【クルマの雑学】 – YouTube
燃料添加剤を使用する
これまで説明してきた5点を厳守したとしても、すすを完全には除去することができません。
そこで、燃料添加剤を使用することで、エンジン内部を洗浄することができます。
これにより、エンジン内部に溜まったすすなどを除去することができ、エンジン動作をスムーズにすることができます。
また、添加剤によっては燃料タンク内のサビを防ぐのに効果があるものもあります。
走行距離が10万kmを超えた車などには一定の効果があると思います。
ただし、過度に使用すると却ってエンジンの調子が落ちるため、使用しすぎには注意が必要です。
まとめ
本記事では一般ユーザーでも実践できる、エンジンを長持ちさせる方法6選について紹介しました。
その中でも優先順位をつけるとすれば、下記の通りとなります(あくまで筆者の主観です)。
優先順位 | 内容 |
---|---|
高 | オイル交換を定期的に行う |
↑ | 週1回はエンジンをかける |
| | ガソリンタンクを空に近い状態にしない |
↓ | 月1回はバイパス道や高速道路を走行する |
低 | 燃料添加剤を使用する |
車種による | 暖機運転は最低限にする |
冒頭でも述べましたが、1番重要なのがオイル管理です。
エンジンオイルには洗浄作用や密封作用、潤滑作用など、エンジンをスムーズに動作させてかつ長持ちさせるために必要な一通りの機能が備わっています。
一方、車の使用距離や期間経過によって、オイルは次第に劣化していきます。
「オイル管理がなっていなかったな…」と思う方は、これを機にオイル管理をマメに行いましょう。
「オイル管理は完璧に行えている!」と思う方は、他の内容も実践することで、より愛車を長持ちさせることができるでしょう。
少しでも愛車を長持ちさせたい方の参考になれば幸いです。
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