手軽にスポーツ走行を堪能できるスイフトスポーツ(以下、スイスポ)。新型の発表が待たれていた中、現行モデルの特別仕様車である、「ZC33S Final Edition」が正式に発表されました。
「ZC33S」と書かれていることから、現行モデルが終売になるだけで、新型が出るのではないか?と期待を寄せている方もいるかと思います。
個人的な予想としては、スイスポは一旦終売になり、代わりにスイフトRSが再登場するのではないかと考えています。
車系の雑誌やメディアなど、一部では新型スイスポが開発されているという情報が出ていますが、実際のところはどうなのでしょうか。
そこで、新型スイスポが発売されるかどうか、様々なデータを基に考察していきます。
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スイフトスポーツの歴史
初代(HT81S型、2003年6月〜2005年9月)
項目 | 数値 |
---|---|
新車価格 | 1,190,000円 |
全長 | 3620mm(+5) |
全幅 | 1650mm(+50) |
全高 | 1525mm(-15) |
ホイールベース | 2360mm(±0) |
車両重量 | 930kg(+40) |
最高出力 | 115PS(85kW)/6400rpm |
最大トルク | 14.6kg・m(143N・m)/4100rpm |
排気量 | 1490cc |
過給機 | なし |
パワーウェイトレシオ | 8.09kg/PS |
初代スイスポはエアロパーツを始め、車体剛性の強化やレカロシートを装備しています。
また、搭載しているM15Aエンジンは本モデル専用仕様となっており、同じく専用チューニングが施されたECUによって最大115馬力を発揮する仕様となっています。
更に、ドア数も通常モデルが5ドアであるのに対し、スイスポでは3ドアとなっています。
このように、本格的なスポーツモデルになっているにも関わらず、119万円という非常に安価な価格で販売されました。
これは、グレードの単一化(5MTのみで、AT設定なし)、オーディオレス仕様とすることによって実現したそうです。
2代(ZC31S型、2005年9月〜2010年9月)
項目 | 数値 |
---|---|
新車価格 | 1,564,500円 |
全長 | 3765mm(+70) |
全幅 | 1690mm(±0) |
全高 | 1510mm(±0) |
ホイールベース | 2390mm(±0) |
車体重量 | 1060kg(+60) |
最高出力 | 125PS(92kW)/6800rpm |
最大トルク | 15.1kg・m(148N・m)/4800rpm |
排気量 | 1586cc |
過給機 | なし |
パワーウェイトレシオ | 8.48kg/PS |
2代目では初代とは異なり、通常モデルと同様の5ドア仕様となりました。
また、本モデルでは5MTに加え、4ATも選択できるようになりました。
先代モデルではオーディオレスでしたが、本モデルではオプションにてオーディオを取り付けられるようになっています。
このように、先代モデルは本格モータースポーツ仕様であったのに対し、本モデルでは幅広いユーザーに選ばれやすくしたモデルと言えます。
3代(ZC32S型、2011年12月〜2016年12月)
項目 | 数値 |
---|---|
新車価格 | 1,680,000円 |
全長 | 3890mm(+40) |
全幅 | 1695mm(±0) |
全高 | 1510mm(±0) |
ホイールベース | 2430mm(±0) |
車体重量 | 1050kg(+80) |
最高出力 | 136PS(100kW)/6900rpm |
最大トルク | 16.3kg・m(160N・m)/4400rpm |
排気量 | 1586cc |
過給機 | なし |
パワーウェイトレシオ | 7.72kg/PS |
2代目スイフトのキープコンセプトで登場した、3代目。
外観こそ大きな変化はないものの、先代よりも10kgの軽量化に加え、最大出力も11PS(8kW)アップしました。
これにより、初代スイスポよりも優れたパワーウェイトレシオとなっています。
また、このモデルでは従来の5MTから6MTと、多段化が行われています。
高性能化と快適性の両立を果たしたモデルと言えそうです。
4代(ZC33S型、2017年9月〜現在)
項目 | 数値 |
---|---|
新車価格 | 1,836,000円 |
全長 | 3890mm(+50) |
全幅 | 1735mm(+40) |
全高 | 1500mm(±0) |
ホイールベース | 2450mm(±0) |
車体重量 | 970kg(+130) |
最高出力 | 140PS(103kW)/5500rpm |
最大トルク | 23.4kg・m(230N・m)/2500~3500rpm |
排気量 | 1371cc |
過給機 | ターボ |
パワーウェイトレシオ | 6.93kg/PS |
歴代スイスポでは唯一、3ナンバー登録です。
2代目・3代目とは異なり、排気量は1400ccにダウンサイジングしましたが、ターボチャージャー搭載により馬力アップを図っています。
また、車体重量も970kg(6MT)と、軽量なのも特長です。
そのため、パワーウェイトレシオは6.93と、歴代スイスポの中でも最も加速力があると言えます。
2017年発売当時、価格帯の近い86・BRZのパワーウェイトレシオは5.84、ロードスターは7.56であり、遜色少ない性能を持ち合わせています。
更に、同時期に販売していた86・BRZの価格は2,623,320円〜1、ロードスターの価格は2,494,800円〜2と、約60〜80万円も安く購入できました。
このことから、ZC33S型スイスポは走行性能に対し、安価に購入できるマシンと言えます。
新型スイスポは発売される?
冒頭でも記載した通り、新型スイスポは発売されず、販売終了になると考えられます。
理由は以下の通りです。
- 物価高騰による、開発費用の上昇
- 他スポーツカーとの価格勝負が難しい
- 環境規制などにより、高性能化が難しい
- ファイナルエディションと標準車の基本仕様が同じである
物価高騰による、開発費の上昇
世界的にもインフレが進んでおり、物価や資材の高騰が進行しているのは皆さんご存知かと思います。
自動車の材料となる金属やプラスチックなども高騰しており、車両価格を引き上げないと利益が出せない状況でしょう。
まして、新車開発となると、試作車の開発や衝突試験用車両の製作など、多額の開発費用が必要になると考えられます。
例えば、4代目スイフトは発売当初、1,343,520円から購入できた3のに対し、現行モデルは1,727,000円から4と、約40万円の値上げとなっています。
一般向けのスイフトでさえ、40万円の値上げになっていることを考えると、特定層をターゲットにしたスイスポの値上げはそれ以上になることが予測されます。
また、スズキは民間企業であり、経営状況に応じて資金繰りを行う必要があります。
スイスポの場合、大衆向けの車種ではないため薄利多売という商法はとりづらく、新車開発する優先順位はた車種と比べて低いと言えます。
他スポーツカーとの価格勝負が難しい
スイスポの発売価格は、モデルチェンジ毎に平均17万円ほど値上げしています。この通りに行けば、次モデルの発売価格は200万円程度になります。
しかし、先程もお伝えした通り、スイフトの発売価格は先代と比較し、約40万円上昇しました。このことを考えると、200万円での販売は恐らくないとみてよいでしょう。
また、スイスポの価格設定は、スイフト上位グレードよりも約25~30万円程高く設定されることが多いです。
現行モデルの上位グレードである「HYBRID MZ」は2,167,000円~となっており、以上のことを勘案すると、もし次世代スイスポが発売されるとすれば、新車価格は最低でも240万円はするのではないでしょうか。
一方、2024年12月現在、GR86の価格は2,936,000円~5、ロードスターの価格は2,898,500~6となっています。
つまり、クーペであるGR86や、オープンカーであるロードスターとの価格差は約50万円程度となってしまい、価格勝負は以前と比べて難しくなるのではないかと考えられます。
環境規制などにより、高性能化が難しい
現行スイフトは先代よりも排気量の少ないエンジンを採用しており、馬力は小さくなっています。
加えて、全グレードとも車両重量が増加しています。
つまり、スイフトに関して言えば、パワーウェイトレシオは先代よりも悪化していると言えます。
この流れでいくと、スイスポも重量増加になる可能性も大いに考えられます。
しかし、新型を購入するのであれば、旧型より性能の高いマシンを購入したいと、多くの消費者は考えるのではないでしょうか。
「コストダウンを図れば性能ダウンを免れるのは難しく、かと言って性能アップを図ろうとすれば異常な販売価格の値上げになり、価格競争が難しくなる」とスズキは考えているかもしれません。
こうなれば、あえて新型モデルを開発・販売せず、既存モデルを続投するのが賢明と言えるのではないでしょうか。
ファイナルエディションと標準車の基本仕様が同じである
ファイナルエディションと標準車との変化点は内外装であり、車体サイズや燃費、馬力、減速比など、走行に関する基本的な変更点はありません。
外観面に関して言えば、ファイナルエディションでは、タイヤ回りもホイールがブラック一色になったほか、ブレーキキャリパーが赤色塗装されるなど、スポーティーなデザインに仕上がっています。
ただし、ブレーキそのものは同じであり、「ブレンボ製のブレーキを採用した」などという訳ではありません。
内装に関しても同様で、インパネやコンソールなどの加飾をヒートグラデーション調に変更しています。
ただし、「レカロシートを標準装備する」などといった変化はありません。
ファイナルエディションは標準車と比較し、16.5万円高いことを考慮すると、ファイナルエディションは事実上の値上げであるとも言えます。
スイフトRSが設定される可能性は?
現行モデルにはスポーティーグレードである「RS」が設定されていません。
これについては恐らく、スイスポと価格が近くなってしまい、スイスポとRSとの棲み分けが難しくなるからではないかと考えます。
2024年12月現在、スイフト(HYBRID MX・5MT)が1,922,800円~7であるのに対し、スイスポ(6MT)が2,164,800円~8と、その差は約20万円です。
歴代スイフトRSは上位グレード・特別グレードの立ち位置であるため、HYBRID MXよりも内外装や多少の足回りに手を加えると思います。
現時点でRSを販売した場合、価格帯が近くなってしまうことも考慮すると、スイスポを購入するユーザーとRSを購入するユーザーが分散してしまい、経営上好ましくないと言えます。
ただ、歴代スイフトRSは通常モデルとほぼ同一仕様となっています。
また、現行モデルにも5MTが販売されていることから、RSの開発はさほど難しくはないと考えられます。
以上を考えるとスイスポ終売後、スイフトRSを発表する可能性はあり得るのではないかと考えられます。
まとめ
これまで新型を発表せず、ZC33S型を続投している理由は「新型を開発・販売するメリットがないから」だと言えます。
また、16.5万円値上げし、ファイナルエディションを発表したのは、「これ以上生産・新規開発するのは限界である」とのスズキからの意思表明ではないかと思われます。
さらに、歴代スイスポにはファイナルエディションを発売したことがありません。
上記を考慮すると、スイスポはファイナルエディション受注終了後、一旦歴史に幕を閉じることとなりそうです。
ファイナルエディションは2025年3月から2025年11月までの期間限定生産9となっており、約1年間はファイナルエディションを購入するかどうか検討することができます。
ただし、2025年2月をもって標準車の生産を終了するため、標準車を購入したい方は、早めに成約した方がよさそうです。
新型を待っていた方は、現行標準モデルを購入するか、ファイナルエディションを購入するかを2025年1月までには検討したほうがよいでしょう。
標準車とファイナルエディションの比較記事も作成しましたので、そちらも参照してもらえると幸いです!
出典・引用
- 86(TOYOTA)G(2017年10月)|カタログから中古車を探すなら【グーネット】、2024年12月11日閲覧。 ↩︎
- ロードスター(MAZDA)S(2017年12月)|カタログから中古車を探すなら【グーネット】、2024年12月11日閲覧。 ↩︎
- 型式:DBA-ZC83S|スイフト(スズキ)の総合情報|【グーネット】、2024年12月11日閲覧。 ↩︎
- 型式:5BA-ZCDDS|スイフト(スズキ)の総合情報|【グーネット】、2024年12月11日閲覧。 ↩︎
- トヨタ GR86 | トヨタ自動車WEBサイト、2024年12月11日閲覧。 ↩︎
- MAZDA ROADSTER / MAZDA ROADSTER RF |(NDロードスター)スポーツ|マツダ、2024年12月11日閲覧。 ↩︎
- スイフト 価格・グレード|スズキ、2024年12月11日閲覧。 ↩︎
- スイフトスポーツ 価格・グレード|スズキ、2024年12月11日閲覧。 ↩︎
- スズキ、スイフトスポーツに特別仕様車「ZC33S Final Edition」を設定して発売|スズキ、2024年12月17日閲覧。 ↩︎
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